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倶楽部報(2016年春号)

いんたーNET

杉吉 勇輝(平成17年卒 丸亀高 小豆島高校勤務)

2016年04月08日

2009年4月、人事異動で小豆島高校に赴任し、同年7月から野球部の監督になりました。当初は2学年で選手9名。部の存続すら危ぶまれる状況でした。そんな中、私は「野球を通じての人間形成」を目的とし、「Enjoy Baseball」を方針に掲げて野球部の運営を始めました。目指したのはまさしく慶應義塾の野球でした。私は監督として、選手がスポーツとしての野球を純粋に楽しめる環境を整えることに専念することとし、そして選手自らが目標を立て、その目標を達成するために自らの足で歩むことができる自立した集団になれるよう、様々なアプローチをかけました。

2010年春、当時塾野球部の監督であった江藤省三先輩のご厚意で、春野キャンプの見学をさせていただきました。選手は塾野球部のレベルの高いプレーを間近に見て感激するとともに、自らに厳しい練習を課し、黙々と練習する姿を見て、野球の本当の楽しみ方を学んだように思います。また、一緒に練習をする時間も設けてくださり、そこで多くの経験をさせていただきました。それ以来、自主練習を積極的に行う選手が増加し、いつしか小豆島高校野球部員は自分達で考え、練習に取り組むことができる集団へと変化していき、それが伝統になっていきました。

2015年の秋季香川県大会で優勝。すべての試合が3点差以内の接戦でした。その戦いぶりが評価され、21世紀枠の四国地区候補に選出されました。そして2016年1月29日15時過ぎ。香川県立小豆島高校野球部の歴史に新たな1ページが加わりました。第88回選抜高等学校野球大会出場決定。2017年4月には、小豆島高校は隣町にある土庄高校と合併し、小豆島中央高校として生まれ変わります。つまり、統合を翌年に控えた中、はじめての甲子園への道が開かれたことになります。選抜大会での結果は初戦敗退と悔しいものに終わりましたが、スクールカラーのえんじ色で埋め尽くされたアルプススタンドの風景は圧巻でした。ベンチとスタンドが一体となってベースボールをエンジョイすることができたように思います。

統合を控えるなか、小豆島高校として大会に出場できるのはあと夏・秋の2回の大会のみです。香川県の田舎小豆島から全国へ、少しでも慶應義塾の誇る「Enjoy Baseball」の精神を広めることができたらと思っています。

甲子園出場に際し、多くの諸先輩方から激励のお言葉を頂きました。この場を借りて感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。ありがとうございました。

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