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倶楽部報(2026年春号)

JICA海外協力隊の派遣で第2回「ガーナ甲子園」大会開催に貢献

木戸脇 光(商学部3年 時習館高)

2026年04月10日

木戸脇 光の写真

ガーナ野球・ソフトボール連盟(GBSF)および一般財団法人アフリカ野球・ソフト振興機構(J-ABS)の協力のもとで、ガーナにおいて実施された、野球を活用したスポーツマンシップを育むベースボーラーシップ®教育活動に参加した。本活動は、野球の普及のみならず、子どもたちの人格形成や規律意識の向上を目指す教育的な取り組みであり、今年度はドドワ、テマ、コフォリドゥア、ホ、ケープコーストの計5地区で実施された。筆者はケープコーストに配属され、現地の子どもたちへの指導にあたった。

活動の初めには、ガーナ日本大使館への表敬訪問を行い、その後、3日間にわたる研修期間が設けられた。研修のうち2日間は現地人コーチも交えながらベースボーラーシップ®について学び、その理念や教育的意義への理解を深め、プログラム案作りを行った。残る1日ではグラウンドにて、実際にどのように子どもたちへ指導を行うかを想定したデモンストレーションを実施した。また、スポーツ庁への挨拶も行い、本活動がスポーツ教育を通じた国際協力の一環として進められていることを改めて実感した。その後、各地域へ移動し、約3週間にわたって現地の子どもたちに対するベースボーラーシップ®教育および野球指導をガーナ人コーチたちと共に行い、最後の2日間にはその集大成として「ガーナ甲子園大会」が開催された。

筆者が活動を行ったケープコーストへは、現地の乗合バスである「トロトロ」に乗って約4時間かけて移動した。日本とは異なる交通事情や街の雰囲気を体感しながらの移動は、ガーナでの生活の始まりを強く印象づけるものであった。

ケープコーストでの練習では、1日の活動を、教室での座学とグラウンドでの技術指導の二部構成で行った。まず教室では、ベースボーラーシップ®の理念について学ぶ時間を設け、「規律」「尊重」「正義」といった価値を子どもたちが自ら考えられるよう、ディスカッション形式で授業を進めた。一方的に教えるのではなく、生徒主体で意見を出し合う形を採用したことで、子どもたちが自分自身の行動と結びつけながら理解を深めていく様子が見られた。その後のグラウンドでは、野球の基礎技術から実戦的なプレーまで幅広く指導し、座学で学んだ内容を実際の行動に移せるよう働きかけた。

こうした教育活動の中で、子どもたちには目に見える変化が現れた。活動当初は、時間に遅れて来る子どもや、道具の扱いが雑な場面も見受けられたが、日を追うごとに遅刻者はいなくなり、使用する道具をきちんと並べる習慣も身についていった。また、学校や家庭でも自主的にゴミ拾いを行うようになった子どもたちもおり、その変化については保護者から感謝の電話をいただく場面もあった。さらに、初日はまったく揃っていなかったランニングの足並みが、ガーナ甲子園大会当日には見事に揃っていたことが非常に印象的であり、子どもたちの成長を強く実感する瞬間であった。プレー面でも、キャッチャーの指示に内野手が応え、それを外野へと伝達できるようになるなど、チームとしての連携が大きく向上したほか、仲間を励まし応援する声かけも次第に活発になっていった。

ガーナ甲子園大会では、ケープコーストは決勝戦で強豪ドドワに敗れ、惜しくも準優勝という結果であった。しかしながら、ケープコーストは大会を通じて最もベースボーラーシップ®を体現したチームに贈られる「ベースボーラーシップ賞」を受賞した。勝敗という結果だけではなく、日々の学びを行動で示し、チームとしての在り方を体現できたことは、何よりも大きな成果であったと感じている。

ガーナでの生活を通じて、現地の人々の温かさにも強く心を打たれた。街を歩けば気さくに話しかけてくれ、こちらの拙い英語にも耳を傾け、理解しようとしてくれる姿勢に何度も助けられた。自分たちに対して強い関心を持って接してくれたからこそ、こちらも構えることなく自然体で交流することができた。

練習が休みの日には、現地コーチたちとともにエルミナ城を訪れた。エルミナ城は、かつてポルトガルによって築かれた奴隷貿易の拠点であり、現地には厳かな空気が漂っていた。実際にその場を訪れることで、教科書や映像だけでは知り得ないガーナの歴史を肌で感じる貴重な機会となった。

また、食文化も印象深い経験の一つであった。筆者がガーナで最も気に入った料理は「インドミー」である。これはインドネシアの食品メーカーの即席麺を用いた料理で、ガーナでは屋台で広く親しまれている。即席麺に細かく刻んだ野菜やウインナー、目玉焼きを添え、ケチャップや「ペペ」と呼ばれる香辛料を好みの量だけかけて食べるもので、日本円にして300円ほどで購入できる。初めて食べて以来その味に魅了され、ほとんど毎日のように屋台に通っていた。

さらに、ホテルの近くの美容院で「コーンロウ」という髪型にも挑戦した。コーンロウはアフリカ発祥の伝統的なヘアスタイルであり、頭皮に沿って細かく編み込んで作られる。自分の髪の長さだけでは足りなかったためヘアーエクステンションを使用したが、その姿を見た生徒たちや現地の方々は非常に喜んでくれ、そこから会話が広がるなど、より距離が縮まるきっかけにもなった。

加えて、J-ABSの友成晋也・代表理事(昭和63年卒、慶応高)をはじめとする、JICA関係者らの方々のご厚意により、ガーナに住む日本人の方々と会食する機会も何度かいただいた。その中で、アフリカでヘアーエクステンションを販売している方のお話を伺うことができた。実際に自分もコーンロウを作る際に使用したヘアーエクステンションは、アフリカで非常に需要が高く、売上も伸び続けているとのことであった。こうした現地での体験を通じて、ガーナにはスポーツのみならず、さまざまな分野で大きな可能性があることを実感した。

一方で、現地で活動する中では課題も感じた。まず、野球道具の不足は深刻であり、グローブの数が十分でなかったため、素手でキャッチボールをする子どももいた。また、靴を持っていない子どももおり、足の裏を怪我している姿を見ることもあった。こうした状況は、野球の普及や継続的な教育活動を進めていくうえで、今後解決していくべき重要な課題であると感じた。

本活動を通じて、野球の技術を教えるだけでなく、ベースボーラーシップ®教育を通じて子どもたちの行動や意識に変化をもたらすことができたことは、非常に大きな学びであった。また、現地の文化や歴史、人々の温かさに直接触れることで、自分自身の視野も大きく広がった。ガーナで得た経験は、単なる海外派遣の思い出ではなく、スポーツの持つ教育的価値と国際協力の意義を深く考える契機となった。今後も、この活動で築かれたつながりを一時的なものに終わらせることなく、継続的な支援と協力へと発展させていく必要があると強く感じている。

ガーナ野球連盟のコーチ陣と共にの写真
ガーナ野球連盟のコーチ陣と共に

まずは道具の整理整頓からの写真
まずは道具の整理整頓から

キャッチボールの指導をする野球部員の写真
キャッチボールの指導をする野球部員

守備の指導をする野球部員の写真
守備の指導をする野球部員

甲子園大会本番、整列・挨拶!の写真
甲子園大会本番、整列・挨拶!

さぁ走れー!の写真
さぁ走れー!

よく守った!さぁ攻撃だ!の写真
よく守った!さぁ攻撃だ!

Do Your Best!!の写真
Do Your Best!!

ベースボーラーシップ・チーム賞を受賞!の写真
ベースボーラーシップ・チーム賞を受賞!

大会後のダンスタイムの写真
大会後のダンスタイム

JICAガーナ事務所で最終報告会を終えての写真
JICAガーナ事務所で最終報告会を終えて

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